先日、会社で大切な商談があり、社員一同団結して、入念にプレゼンテーションの仕込みをしていました。
こいつら、こんなにチームワーク良かったのかと思うほどで、ほとんど毎日徹夜で、実の家族以上に長い時間を一緒に過ごし、学生時代以来、いい仲間ができたと思えた、有意義な時間を過ごしていました。

しかし、そのプレゼンテーションの前日になって、急にいくつかの訂正が入り、資料の作り直しが発生してしまいました。
これは大変だということで、既に帰宅してしまった人間も呼び出し、上司は怒り、でも明日まで何とかしなければならないということで、徹夜の作業がはじまりました。

冒頭に挙げたチームワークが醸成されたことを感じた仲間たちも、この時ばかりは荒れ、全員がイライラして、誰がミスをしたのか、あの資料はどこへ行ったなど、怒号が飛び交うこともあり、いい仲間ができたと感じた感覚を、返上したい気分に駆られました。

そんな感傷に浸っている暇も無く、時間までに終わらせたい気持ちと、さっさと帰って眠りたい気持ちが交錯する中、夜を徹しての、てんやわんやの作業が続きました。
最後の方では、怒号すら出なくなり、全員口数が減り、黙々と作業が続き、気が付くと空が明るくなってきました。
眠い目をこすり、意識が朦朧とする中、何とか訂正した資料が完成し、その日のプレゼンテーションには間に合う見込みが立ちました。

全員でやったーと叫び、ある者は抱き合い、ある者は目に涙を浮かべました。
まだ泣くのは早い、本番はこれからだと思っていたところ、ある社員が全員に向かって頭を下げました。

「自分のミスです、すいませんでした。」
そこで、思わず私は、その後、大きな後悔をする、この言葉を言ってしまいました。

「大丈夫、今日のプレゼンに間に合うんだからセフセフ。」
すると、室内の空気が凍りつき、全員がこちらを向き、怪訝そうな表情でこちらを見つめたのです。

眠気と疲れと、資料が間に合ったという安堵感から気が緩み、思わず日常会話が出てしまいました。

これはまずいと思い、すかさず大げさにゼスチャーをしながら、野球のクロスプレーを裁く審判のように「セフセフ!セーフ!セーフ!」と言い直し、室内が笑いに包まれ、何とかその場を切り抜けました。

しかし、その場はそれで済んだものの、あの瞬間に、ヲタバレしてしまった可能性が拭えません。

今は、できるだけ当時の話には触れないようにしながら、みんなの中からあの瞬間を忘れ去ってもらうことを願い、怯えている毎日です。