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 あれから八度目の春が来た。
 舞い散る桜を見ると今でも、父と母の最後が脳裏をよぎる。



 「トレジャーハンター」――
 世界中の遺跡を巡り、隠された秘宝を探し出す者達。父さんはその中でもずば抜けた腕を持つ一人だった。
 母さんと二人で大きな組織を出し抜き、飛び切りのお宝を手に入れたことも、一度や二度じゃない。ガキの頃から、俺にとって両親は憧れであり、理想そのものだった。

 だが、その腕の良さが恨みを買う事になった。お宝を横取りされた組織に、命を狙われる事になったのだ。 

 俺と、妹の亜紀を乗せ、父は必死にアクセルを踏む。
 振り返った窓から、俺達の車を追って来る馬鹿でかいトラック、そしてその助手席に座る、顔に刀傷のある男の、怒りに燃える目が見えた。
 
 いつか家族でドライブした海沿いの道。
 ドン、と鈍い衝撃と共に大型トラックが追突し――俺達を乗せた車は、その道から海へと押し出された。
 
 父さんは最後に、俺に小さな丸い物を渡して言った。
 「この『珠』を守ってくれ」――と。
 父さんはそういうと、俺と亜紀を、車の外に投げ出した――

 そして――気付くと、そこは病院のベッドだった。
 眼の前にはヤニ臭い息を吐く、胡散臭いおっさんがいた。「村田」と名乗るそのおっさんは、父さんの古い友人であり、この病院を持つ、ある組織の一員だった。
 そして教えてくれた。
 あの「事故」で両親が死んだ事を――。
 不思議と、実感は無かった。気になったのは、何故両親が死ぬほどの事故で俺は生き残ったのか。そして、父さんから渡されたあの『珠』はどこに行ったのか、という事だった。

その答えは、すぐに出た。
月夜の晩、俺の体を衝撃が貫いた。
突如体の内側から起こった膨大な力の奔流が、俺の体に、耐え難い激痛をもたらす。
「まさか……『珠』の力か!?」
村田のおっさんが言った。
 『珠』――この不思議な物体は、あの事故で瀕死の重傷を負った俺の体内に入り、ボロボロだった俺の肉体を再生し、命を救ったというのだ。
その『珠』の力が突然発動した。
 全てを破壊しつくす強大な力。何故俺にこんな力が? そしてこの『珠』とは何なんだ……! 
 「――オーパーツさ」 

 ようやく『珠』の力が沈静したのは、夜が明ける頃だった。 
 破壊しつくされた病室を見て、村田のおっさんはタバコに火をつけながらこう言った。
 「正也……この力を使ってみねえか? トレジャーハンターとして」

 その後、俺たちは叔父夫婦に引き取られる事となった。
 美里さんという新しい母、そして彩香、育乃の二人の妹――
 全てを失った俺と亜紀は、新たな家庭に迎え入れられたのだった。



 あれから8年――
 今日も俺は、学園に隠されたエレベーターを使い、地下の「キヨミネ遺跡」の探索に向かう。
 父さんが最後まで到達できなかった――そしてこの『珠』が見つかったこの遺跡に。
 
 俺たちが通う「清嶺学園」――この学園が地下の巨大遺跡「キヨミネ」を隠すために作られたものである事を誰も知らない。そして、俺がトレジャーハンターであることも――
 いや、もうトレジャーハンターでもない。
 先日、社会化の教師であり、遺跡の調査責任者でもある村田のおっさんから、任命を受けたばかりだ。

 遥か太古の超文明……「ロスト・シヴィライゼーション」。
 その文明が残した現代科学の水準を遥かに上回った物品――「オーパーツ」が時々出土する。
 それらの物を守るために、絶大な権力を与えられた者達。
 国家に所属し、世界に5人しかいない「封印権限」を持つ特別なトレジャーハンター、それが――

  
 「エグザミネイター・堀 正也。ミッション、開始する!」













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